オニユリ

 7月2週目の季節外れの台風は、毎週「特急しなの」で通過している南木曽に大きな被害をもたらしました。木曽川が流れ山に囲まれた風光明媚で、妻籠宿も間近なこの場所を人命をも奪った土石流が発生したのです。

 1週間の始まりの月曜の始発列車で長野経由で群馬へ、そして週末の金曜日の最終列車で、群馬から長野経由で小牧へ。そんな慌ただしい日常にとって「特急しなの」で過ごす2時間半と眼下に広がる沿線の穏やかな風景は、小さな安らぎとなっていました。

 そんな時間が、台風8号のもたらした大雨によって、しばらくの間無くなってしまいました。最低でも1か月以上と言われているように、「特急しなの」の運転再開までには、かなりの時間がかかるようです。

 それまでの間は、東京経由の東海道新幹線で往復です。金曜の夜の混雑に疲れ果てて帰宅した私を癒してくれるかのように、桃花台の散歩道脇にオニユリが群生していました。「特急しなの」で過ごす時間は、いつの間にか日常になっていたようです。早く日常を取り戻すことができますようにとオニユリがそっと囁いてくれました。


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