冬の朝に

 凍えるほどの寒い朝、葉のすっかり落ちた木の間から下弦の月が見えました。白々明けていく空と月の様をゆっくりと見ている余裕はありませんが、日常とは別世界のような朝の風景に遭遇して、かじかんだ手にほんの少しだけ温もりを感じたような気がします。

 日常の中にも非日常的な風景はたくさんあるのに、それを見つめる目を開かないと、風景は閉ざされたままになってしまうようです。忙しさに埋没して、心の目を開かない日々が続いています。少しだけ心の余裕を持って、心の目を見開かないと、美しい風景も目の前を通り過ぎて行ってしまうばかりです。


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