椿の花は、花びら一枚一枚が落ちるのではなく花ごと落ちることはよく知られています。この様子は「落椿」という言葉で表現され、俳句の季語にもなっていることを初めて知りました。
「花びらの肉やはらかに落椿」 飯田蛇笏
「落椿土に帰せんとしつつあり」高浜虚子
短歌に比べ俳句は、心情というより風景を描写するものだと長い間思い込んできましたが、凝縮された五七五の十七文字の中には、十分に作者の心情が存在しているということを思い知らされた「落椿」の句です。
まるで土に咲いているような「落椿」の様に心打たれシャッターを切った瞬間を、いつか俳句で描写したいものです。祖父の遺したたくさんの俳句の中に「椿」や「落椿」の句はあるでしょうか。
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