紫の

  台風一過の実家の庭で、朝の陽射しを浴びて輝いている紫の実を見つけました。「紫式部」という実とのことです。紫式部という名、そして、紫という色は、「源氏物語」の「紫の上」を連想させ、古典の世界へと誘ってくれるようです。

 そういえば、万葉集にも「紫」という言葉の入った有名な歌がありました。

 

「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」(額田王)

「紫の 匂える妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我恋ひめやも」(大海人皇太子)

 

 かつて、古典文学の深淵な世界を紐解いてみたいと思ったことが、今、懐かしく思い出されます。額田王と大海人皇太子の恋の歌、深刻な重苦しい恋のはずなのに、それを超越した「おおらかさ」「伸びやかさ」が二人の歌に満ち満ちています。この二つの歌に鮮烈な衝撃を受けた高校生の頃が甦りました。

 


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