君子蘭

 実家の玄関に10鉢以上ある君子蘭、4月の終わりにはまだ蕾でしたが、ようやく咲き揃いました。祖父が慈しみ育てていた君子蘭です。祖父が亡くなってから20年近く経ちますが、祖父の君子蘭は毎年咲き続けています。

 光沢のある肉厚な葉は、一年中深く美しい緑を保ち、私達に緑の安らぎを与えてくれます。そして、5月、オレンジ色の存在感のある花を咲かせます。高貴な花という意味から君子蘭と名づけられたとか。

 孤高の人、毅然として常に自己研鑽に励み、病にさえ立ち向かう強い精神力を持った祖父でした。そんな祖父がこの花を慈しんだことは偶然ではないような気がします。

 夕暮れ時の仄暗い実家の玄関に光を灯しているような君子蘭、祖父が懐かしく思い出されます。今の私を見て、祖父はどんな言葉を投げかけてくれるでしょうか。何も言わずにただそっと見守ってくれるだけかもしれません。

 風に揺れる葦のような今の私にとって、君子蘭の毅然とした美しさは眩しいばかりです。でも、いつか君子蘭のように毅然と佇むことが出来ますように・・・。


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