ゆずり葉

 まるで昨日のことのように、少年だった頃の思い出を語る父。昔のことをなぜそんなに鮮明に覚えているのかしらと不思議に思うことがたびたびです。

 今の私はまだ特別な思い出以外は、セピア色の包装紙にくるんで心の片隅に仕舞い込んであるような気がします。いつか、心の片隅からたくさんの思い出を取り出し、包装紙を開く時まで、大切に仕舞っておきましょう。

 それでも、すっかり忘れていた過去のワンシーンを突然鮮やかに思い出すこともあります。土曜日、桃花台中央公園を散歩していた時に、伸びやかな新芽が目に飛び込んで来ました。「ユズリハ」「ゆずりは」「譲り葉」、学生時代「四季の会」というサークルで作っていた冊子の名前をとった植物です。春、新芽が出ると、それまでの葉は皆落ちていくというゆずり葉、今まさに新芽が萌え立ち、新旧交代の時を迎えようとしていました。

 ゆずり葉と共に甦った学生時代と「四季の会」、仲間達の顔が懐かしく思い出されます。思い出の中の仲間達は、皆溌剌とした若者のままですが、夫と私だけはすっかり年を重ねてしまっています。


概要 | プライバシーポリシー | Cookie ポリシー | サイトマップ
Copyright(C)2011 Green Pallet KARUIZAWA by Kayo Hayashi.All Rigths Reserved.