時を経たマトリョーシカ

 ロシアがまだソ連だった頃、モスクワ、レニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)、キエフ、オデッサなどを巡って、オペラやバレーなどの芸術鑑賞をするという旅をしたことがありました。

 赤の広場、エルミタージュ美術館、冬の宮殿、夏の宮殿・・・鮮やかだった旅の記憶も、少しずつセピア色になってきています。その旅で買ったマトリョーシカ、長いこと飾っていましたが、気がつけばいつの間にか仕舞い込むようになっていました。久しぶりに出したマトリョーシカは、やはり時の流れを感じさせます。

 今のマトリョーシカは、トールペイントのような感じで絵付けされていますが、この古いマトリョーシカ達は、ロシアの民族衣装の刺繍部分が細かい寄木細工で作られています。2番目に小さいものにも木が貼られています。

 買った時より深みを増し味わい深い色合いになったマトリョーシカ達、あの頃の私は、今のような未来が待っているとは思いもせず、無我夢中で生きていました。時を経たこのマトリョーシカ達のように深みを増して生きていければ良いのですが、時を経ても、まだまだ無我夢中で生きている今の私です。


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