こぶしの花に

 晴れていた空に暗雲が立ち込め、急にぽつぽつと雨が降ってきました。傘も持たず歩いていたので、にわか雨かしら、それとも、本降りになるのかしらと空を見上げました。黒い雲は動いていて遠くには青空も見えるので、きっと通り雨ともう一度空を見上げると、そこに、こぶしの花が。

 よく通っている場所なのに、ここにこぶしの木があるとは知りませんでした。大きな木に、数え切れないほどのこぶしの花が咲いていて、見上げると、空の彼方まで続いているような・・・。

 雨の中、何だか去り難く、帽子を目深に被り、こぶしの花を見続けました。しばらくすると、雨も止み青空が・・・。暗雲と青空の狭間のほんの一瞬、私の中の時が止まりました。こぶしの花よ、北の地で今だ彷徨う魂達を天国にと小さな祈りを捧げました。


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