Hey Visitor!

　二つの日常の往来は、二倍の時間を持つことになるのでしょうか。そう考えると、季節の歩みについて行けなかった今年の春が解ったような気がしてきました。

　ようやく追いつきつつある季節にゆっくり向き合える場所は軽井沢しかありません。家族揃って過ごす軽井沢で、遅れていた季節を取り戻すことにしましょう。

　軽井沢の遅い春は、私の遅れていた季節を取り戻すには最適な場所です。針葉樹のふかふかした落ち葉に敷き詰められた森の中に芽吹いた植物達。艶やかなウバユリの若葉に今年も出会うことが出来ました。スミレたちも優しく迎えてくれています。サクラソウやユキザサ、春を心から感じることが出来た連休の始まりです。

　4月も残り少なくなりました。ゴールデンウイークを目の前に、実家の木香薔薇が輝き始めています。

　小さな花が溢れんばかりに咲く満開の木香薔薇も美しいけれど、蕾が次々に花開いて、満開の時へと向かって行くこの時期の木香薔薇に心惹かれます。

　一つの蕾、一枚の花びらにも小さな命が宿っていると優しくやわらかな黄色の花びらがそっと語りかけてくれました。私の中で、止まっていた季節が少しずつ動き始め、本当に久しぶりに花々と心を通わせることが出来た朝でした。

　心の眼を開いていないと、あっという間に通り過ぎていってしまう季節に取り残される日々。今年もいろいろな場所で、いろいろな桜を見かけたけれど、目の前を通り過ぎてしまって 残っているのは、この枝垂桜だけ。

　今にも雨が降り出しそうな曇天を背にした枝垂桜は、本来の花色も映えず、私の今年の春を象徴しているよう。

　春爛漫の季節なのに、美しき花々に心が開かない今年の春が通り過ぎようとしています・・・。